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公)全国運転代行協会北海道支部の講習会が開催されました
2018-04-26
カテゴリ:ニュース
4月22日 札幌市の「道民活動センターかでる2.7」において、北海道運転代行業者定期講習会が開催されました。
まず初めに、来賓で北海道総合政策部交通政策局交通企画課の田村主幹から、協会の北海道支部に対して「飲酒運転根絶や業界の健全化など、様々な活動は大変ありがたい」と感謝の言葉のあと、道内14振興局に分かれて立入等の指導が行われていることなど、現在の行政の対応について配布資料に基づいてご説明がありました。その中で、運転代行事業者自身が「業としての順守事項」を理解をされていないのではないかと疑問を呈されました。
平成29年度の行政処分は2件とも損害賠償措置義務違反であったことを挙げられ、「業界の信用に大きく関わることであり、業界の健全化のためには、道内事業者は個別ではなく団体活動をすることからスタートすることが大切で、協会の加入率を上げれば組織活動を強化することができ、自社も業界全体も発展していく」と、現在の協会の活動姿勢を大きく後押しされました。
また質疑応答の時間には、「AB間輸送行為について」の質問に対し、H28年10月に国土交通省から出された健全化対策の内容を踏まえ、はっきり「外形的に有償・無償に関わらず違法である」と回答されました。
引き続いて、同じく来賓の北海道警察本部交通部交通企画課の加藤補佐から、ちょうど前日夜に兵庫県姫路市で起きた大きな事故について触れられ、道内の事故発生状況とともに、夜間走行が主の運転代行業に対し、交通サービス業としてさらなる交通安全の徹底を呼び掛けられました。
この事故は、顧客を迎えに行く途中、回送中の随伴車が、道路を横断中の歩行者2名をはね、お二人とも亡くなるという悲惨な事故でした。
 
休憩をはさみ、協会の丹澤会長が「運転代行業界の繁栄のために」と題し講演されました。
会長はその中で「飲酒運転防止活動も業界健全化の為の講習会も、協会支部長を中心に、自己犠牲を払いながら努力をされている。道内で認定事業者が243社730台もありながら、参加者が少なすぎる」と苦言を呈されました。2月11日に宮崎県で開催された合同講習会にも出席した会長は、宮崎県は行政が社団の講習会を集団指導に代えるものとするという考えであること、また、行政の立入から見える宮崎県の代行事業者の実態、業として真剣な思いの若手事業者の動きなどを紹介されました。
全国の社団の講習会には必ず足を運び、受講者に向けて講演される会長はまた、全国的な問題としてドライバーの高齢化の問題も挙げられました。一般社会でも高齢ドライバーの事故が問題になっている現代において、条件の悪い夜間走行が主の業務である代行ドライバーの年齢は、70歳が上限ではないかと提言されました。しかし、もともと慢性的な人手不足であることに加え、運転代行という仕事はお客様の命と財産を預かる大きな使命と責任を持った業であることに対し、代行料金がこの責任に見合わないことを挙げられ、根拠のない低料金競争が良い人材が集まらない理由であると問題提起されました。ゆえに「運転代行はもうかる業」としての確立が必要で、よくきく「小遣い稼ぎ」という甘い考えは捨て、簡単に認定をとって代行を始め、地域料金を下げておきながらすぐに廃業してしまうという事業者が出ないよう、まずは業としての料金を考えること、また新規参入は3台以上など、もっとハードルを上げるべきと、未だ事業者が自主的に動こうとしないことへの苦言と叱咤激励をされました。
 
そして、北海道でも他の地域と同様に、「地域の連携が必要不可欠、いつまでもレベルの低い主張をしていては業界の社会的地位はいつまでたっても上がらない、飲酒運転根絶の担い手のプライドをもって、プロとして正当な報酬がもらえる業界に」と締めくくられました。
 
最後に、協会北海道支部の樋渡義章支部長から支部活動について報告がありました。
はじめに健全化推進委員会について、札幌地区から3名、帯広地区から2名を北海道警に届出て、3月5日には北海道警随行で実態調査をおこなったところ「従業員にきちんとした教育を受けさせているか」という問いに対し「知らない。そうなの?」と今知ったような口ぶりであったり、また、代行利用者に対して行う役務の提供の説明義務なども、「認識が無かった」と答えた事業者が存在したと報告されました。中にはいまだに随伴車のボディ表示をマグネットシートのままにしている事業者がおり、注意すると「車検に出しているから」と言い訳され、受講者に向かって再度「ご存じのとおり例外は認められません」と念押しされました。
 
また、3月末に終了した街頭指導トライアルⅡの結果は、協会事務局が全国のトライアル地区8道県の状況を取りまとめたうえで、5月18日に国交省と警察庁を交えて報告会を行うことになりました。
街頭指導の大きな課題は、「健全化推進委員であっても一事業者にすぎない」ということで、推進委員には取り締まる権限が与えられていないため、「だからこそ同業として、皆さんの協力が必要なのだ」と意識改革を訴えられました。
 
なお、支部長の地元である帯広地区ではすでに、地区の事業者と話し合って付帯料金徴収の徹底を決定しており、すでに業界の適正化に向けて動き出していることを紹介されました。「『最低料金は協会で決めてくれるのか?』とよく質問をされるが、それは自分たちの地域性を見ながら自分たちで努力して決めることであり、ぜひ、北海道での最低料金を決めて、代行業がもうかる業になるように、力を合わせていきましょう」と呼びかけられ、山田副支部長の挨拶で締めくくり、閉会しました。
 
北海道に限らず、各地で丹澤会長が訴えるのは、「運転代行を“業”として考えてほしい」ということです。
隙間産業と言われる形態から始まった運転代行も、平成14年の法制化によって、確固たる「業」と認められたにも関わらず、未だ小遣い稼ぎ感覚の事業主・従事者が多く、一部には不適正営業も横行していることが、業として真面目に取り組む業者の経営をひっ迫させ、悪貨が良貨を駆逐する結果になっています。経営者として、採算無視の低料金化は、人材不足の問題だけでなく、労働基本法違反や納税義務不履行を招き、結果白タクやAB間などの法令違反にもつながります。
例外なく北海道でも言えることで、こういった様々な問題を解決して健全な業界にするためには、一にも二にも地域の連携が不可欠です。いつまでも「あの業者はきらいだから」「うちは関係ないから」といったレベルの低い主張をせず、飲酒運転根絶の担い手のプライドを持ち、プロとして正当な報酬をもらえる業界にすることを、会長として望んでおられます。
 
今後の北海道の代行業界に、注目です。
 
休日にも関わらず講師としてご出席された田村主幹、加藤補佐はじめ、開催準備に奔走された支部長、会場設営に協力された会員の皆様、お疲れさまでした。
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